おしゃれ浴衣でもきちんとしたレストランの入店を断られる理由

 

何年も前、インターネットの書き込みで「おしゃれ浴衣を着てフレンチのレストランに行ったら入店を断られた。別の女性は着物だからと入店許可。納得いかない」という内容のものを見かけました。

 

その時、意見を書き込んでいる人たちから「ここで愚痴を言う前に自分がマナーを勉強しましょう」のようなコメントが入っていました。

投稿者の方には不本意かもしれませんが、コメントを書き込んでいる人たちが正しいです。

 

現代では「和服」というだけで「おしゃれ」「正装」というイメージを持つ方々が多いですが、そうではないということをきちんと知っておいた方が良いですね。

着物好きな方にとっては「当たり前」かもしれませんが、改めて説明させていただくことにしました。

 

高級レストラン、浴衣で入店できない理由はこれです!

まず、浴衣は、着物ではないんです。

 

「ゆかた」。

漢字で書くと「浴衣」です。「浴」は「入浴」の「浴」、つまり浴衣はもともとは、お風呂上りに着るものでした。洋服に例えるならパジャマとか、バスローブとかでしょうか。

 

今は花火大会などに着て行けるおしゃれな浴衣がたくさん販売されていて、若いお嬢さんたちにとっては「デートの勝負服」のように思えるかもしれません。

でも、浴衣の成り立ちから考えて、「浴衣」は「着物」とは全く別のものであり、本来なら電車に乗る時に着るのもはばかられるものです。

 

そんな性質のものですから、高級レストランなどで入店を断られるのは当然のことなのです。

 

また、浴衣を着る時はたいてい、素足に下駄です。

この「素足」というのも、きちんとしたドレスコードのあるレストランではNGだと思います。「下駄」は歩くとカランコロンと音がします、これも高級レストランや、コンサート会場などでも不可とされる場合が多いかと思います。

 

では、どうすればいいのか。

いちばん確実なのは、高級レストランに和服で行く時には、きちんと長襦袢と足袋を身につけ、「着物」を着ることです。

足元は下駄でなく、草履を。「舟形下駄」のような、パッと見た感じが草履で、歩いても音がしないものがありますので、どうしても下駄がいいという人は、そういったものを選ぶとよいでしょう。ただ、下駄の特徴であるカランコロンはなくなるので、どうせなら草履を履くようにした方がいいかもしれません。

 

毎年8月に、私の地元群馬でも、高崎祭りが開催されます。

この日は、浴衣姿の若い娘さんが激増しますが、残念なことに、皆さん着付けがちゃんとできていなくて、おはしょりが長すぎてモコモコだったり、裾が短すぎたり、衣紋がきれいに抜けていなかったり、背中がしわしわだったりしています。

帯も95%以上の皆さんが「作り帯」で、ご自分で結んでいる方は滅多に見かけません。

 

また、髪の色がすごい茶色だったり、メイクが濃すぎたり、歩き方が残念な感じだったりで、日頃から着物に親しんでいるおばさんとしては、ため息ものだったりします。

 

そんな中、たまに絽の着物をきれいに着こなしている人を見かけると、とても嬉しくなります。

 

で、去年の夏に思ったことは、「花火大会に浴衣や着物をきれいに着たい人のための集中講座」をやろうかしらということです(笑)。

そこで浴衣と着物の違いなども含め、正しい和服文化について覚えていただけたら素敵だなぁ・・・と思ったりしています。

 

実現できるかどうかはわかりませんが、いつか、どなたかのお役に立てればと思っています。

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