着物を着ていると、たまに誤解される!?

着物好きな皆さんは、日頃から普通に衣服として着物をお召しになっていると思うので、そんなこと考えないかもしれませんが、「着物が日常ではない人」から見ると、着物はたまに誤解されることがある気がします。

 

もう何年も前になりますが、私が経験した「着物の誤解」について少しお話しします。

 

着物を着ている人は優雅な生活をしているように見える!?

20年ほど前に卒業した大学の、ゼミの教授と当時の学生仲間を集めて初めて「ゼミ会」を開催したのが9年ほど前のことです。

 

大学時代、私は日本語学(外国の方に日本語を教えるという観点から見た日本語の研究)のゼミに正式に所属しつつ、スペイン文学のゼミにも聴講生という形で参加させてもらっていました。ゼミは1人一つしか履修できない決まりでしたが、どうしても両方勉強したくて。

もちろん、両方のゼミにきちんと出席していました。でも、単位をもらえるのは日本語学だけという形でした。

 

スペイン文学ゼミの初ゼミ会には、ピンクの真綿紬に、開き仕立ての紬地の帯を締めて出かけました。参加したメンバーは「着物=正装」というイメージを持っていて、着物を普段着として着るという感覚を持ち合わせていません。

 

開催したあとしばらくして、その時の出席者の1人とメールをやり取りする機会がありました。その時、彼女が「仕事が忙しくて毎日残業ばっかり。私も星屑倶楽部さんみたいに優雅な暮らしがしたい」と言ったんです。

 

「優雅な暮らし」って、どういう暮らしなんでしょうか。私の中では、「優雅な暮らし」というのはお金に余裕があって、お手伝いさんか何かがいて、時々京都などに旅行に出かけて茶の湯や香道にいそしむ・・・みたいな、いわゆる「セレブ」みたいな感じが「優雅な暮らし」かな?と思っていたので、ゼミの友だちが私の暮らしを「優雅」と想像しているのが意外でした。

 

もしかして普段着としての着物を着ていたのが影響したのでしょうか。

 

私の日頃の生活は、ざっとこんな感じです。

 

  • 兼業農家なので、平日は夫が仕事に出ていて、その間に私が1人でできるような簡単な畑仕事はしておく。
  • 休日は夫婦で協力しないとできないような農作業をする。
  • そんなわけで土日・祝日・ゴールデンウィーク・お盆休みなどは農作業の日となり、遊びに行くことはほとんどできない。遊びに行こうと思ったら綿密な計画のもと、必要な農作業を何とかやりくりして片付けておかなければならない。
  • 農作業は見た目以上に重労働。腰を痛めたり、けがをしたり。熱中症の危険とは常に隣り合わせ。
  • 夫が働きながらの農業であり、田植えや稲刈りなど「この時期じゃないとできない」というような作業に関連する準備作業(力仕事なので夫婦の協力が不可欠)などを、出勤前に4時起きでやっておかなければならない日もある。
  • その合間に、親戚や隣組で不幸があった時などは、夫婦で駆けつけなければならない。(義母が亡くなっていて義父が認知症だったため、親が行けないので、親戚づきあいなどはすべて自分たちが行かなければならない)
  • 農作業は天候に左右される。予定していた日に大雨が降るなどして延期になると、「あの作業が終わったら翌週はちょっと遊びに行こうか」という予定は実現できない。
  • 地域の独特な風習などがあるため、それらを実行するために準備したり、隣組で協力して作業しなければならないことも多い。

こんな感じなので、正直、あまり自由のない暮らしです。

 

夏の炎天下での農作業は過酷です。仕事内容にもよりますが、会社勤めの残業の方がよほど楽だと思うことがあります。

 

そんなわけなので、たまに同窓会やゼミ会があるとき、「せめて今日ぐらいは好きな着物を着てお出かけしよう」という気持ちで、何日も前からコーディネートを考えたりして着物で出かけています。

 

その表面的な部分だけを見て「優雅な暮らししてるんだろうなぁ」と思われてしまうと、私としてはちょっと残念です。

 

戦前などを中心に描かれるドラマは別ですが、現代のドラマの中では、普段着物を着ている人というとお手伝いさんがいる家の奥さまというような描かれ方をしていることが多いように思います。例えば浅見光彦のお母さんとか(笑)。

 

たぶん、日常的に着物を着ていて、家事もガーデニングも普通に着物でできちゃう人も多いと思うんです。

「着物を着ている=好きなことだけしていればいい優雅な生活」ということは、決してないと思います。

 

でも何故か、着物を着ているとセレブとか優雅とか、誤解されることが多いような。

それはたぶん、着物というものが非日常となり、戦後の呉服屋さんで扱っている商品の多くが高級な訪問着や振袖だったりすることが増えてきたことから、国民の皆さんの着物に対するイメージが「高級」「セレブ」という風に変わってしまったことが原因と思われます。

 

着物が好きで日頃から着ている皆さんの中には、リサイクルで良質な着物を安く入手したりして経済的に上手に楽しんでいる方も多いと思うんです。

 

私も、祖母や叔母、母のお下がりからリサイクルの2,000円の着物や帯まで様々な入手経路の着物を楽しんでいます。正直、ワンピースを買うよりも安いことがあります。

「着物なんて着て、いい暮らししてるんだね」と言われると凹みます(笑)。

 

それでも私は着物が好きです。

着物は工夫次第で安く買えて楽しめるということを、いろんな人に広めたいと思っています。

 

それにしても、ゴールデンウィークは着物系の魅力的なイベントが多いですがいけません~!

残念!

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